2013岩国・労働者反戦交流集会基調
Ⅰ.改憲-戦争国家化に抗する重要な闘争拠点として、沖縄-岩国-神奈川での反米軍基地・反安保闘争連帯の闘いを全国的に形成していこう!
○負けない岩国の闘い
2012-13年は、岩国基地強化の狙いが、白日のもとに示された年となりました。
長い沈黙を破って、岩国住民たちが「米軍基地強化NO」の声をあげたのが2006年です(岩国住民投票)。半世紀近くにわたり、岩国住民が「悲願」とまで呼んでいた「(岩国基地滑走路)沖合移設」事業が、基地負担軽減のためのものではなく、基地強化の道であったことを知った時でした。「沖合移設事業」には、約2500億円の思いやり予算が投入され、愛宕山を削った土砂で埋め立てが行なわれ、基地面積は1.4倍となっていました。そこに提案されたのが、2005年の米軍再編計画です。
この米軍再編計画の中で、2014年に「厚木からの艦載機部隊」が岩国に配備、この部隊の兵士や家族・4000人のために、愛宕山新住宅市街地開発事業の跡地を米軍住宅とするというのです。孫子のために…と、沖合移設事業や愛宕山開発事業に協力した住民たち、基地負担軽減を願った岩国市民たちは、だまされたことを知らされました。「基地と共存する街」と言われてきた岩国の転換点でした。
岩国における「基地強化NO」の声に対し、政府-防衛省は、過酷なまでのアメとムチの攻撃を行ない、この声をたたきつぶそうとしました。建設途中の岩国市庁舎への資金凍結、住民投票を行った井原元市長に対する議会による予算審議拒否、基地再編交付金をエサにした利益誘導・・・。地域経済の困窮化が進み、米軍基地のためになおのこと地場産業が育たなかった岩国は、ひとたまりもなく反対の声を押さえこまれていきました。2008年には「基地強化への現実的対応」を主張する福田市長が誕生しました。
政府-防衛省の総力をかけた反基地運動つぶしの策動のなかを、岩国の反基地住民たちは「岩国は負けない」と生き延びてきました。海の裁判(埋め立て訴訟)、陸の裁判(愛宕山訴訟)、空の裁判(爆音訴訟)、テーブルの裁判を起こし、政府-防衛省、山口県・岩国市を相手どって行政訴訟を起こし、泣き寝入りはしない立場を明らかにしました。愛宕山では、沖縄・辺野古でのおじい・おばあたちの座り込みに学び、2011年から「見守りの集い」が愛宕山神社前広場で始まりました。これらをベースに、オスプレイ上陸阻止や岩国基地強化反対の闘いが、沖縄との連帯関係を築きながらおこなわれました。
困難な中での、これら住民の闘いに寄り添い、年一度、岩国現地に集まってエール交換し、封じ込められている岩国現地での反基地住民の闘いを全国に発信する役割を、私たち岩国・労働者反戦交流集会実行委は果たそうとしてきました。昨年からは、愛宕山米軍住宅建設やオスプレイ上陸などの基地強化の一段の攻撃に対し、岩国現地情報や闘争の発信・参加取り組みの強化、岩国連帯のネットワークの拡大をめざし全労協を始め各地の労働組合への働きかけ、全日建連帯労組が中心となったオスプレイ反対全国キャラバンへの協力などを進めてきました。
このような中で、私たちが実感してきたように、2012~13年の、とりわけオスプレイ上陸をめぐる攻防は、現在の米軍再編と岩国基地強化の狙いがなんであるのかを、白日のもとにさらすものとなりました。
○ 沖縄・「本土」は米軍戦略の「捨て石」~オスプレイ配備の意味すること~
2012-13年のオスプレイの岩国上陸は、日本全土の前線基地化の引き金の位置を持つものでした。沖縄全島の声を踏みにじったオスプレイ配備が強行され、普天間基地前抗議行動には、米軍の銃口を背後に警察による弾圧が振り下ろされました。こうして歴史を画する戦争国家化との攻防が姿を表したのです。
沖縄・普天間基地に配備されたオスプレイは、拡張された岩国基地を運用拠点とし、全国7ルートでの低空飛行訓練を開始しました。深夜や市街地運行の禁止など日米間の運用取り決めは全く守られず、米軍は訓練計画すら明らかにしません。治外法権・やりたい放題が、情報請求権も裁判権もない極めて差別的な日米地位協定によって横行し、今までも米軍によって、事件・事故・犯罪に際し、基地周辺住民や女性の生活・権利を脅かしてきました。今年8月、オスプレイ第2次配備直前に起こった沖縄キャンプ・ハンセンでの米軍ヘリ墜落事故に対しても、米軍は情報さえ明らかにしていません。オスプレイ配備と全国展開は、それを基地周辺のみならず日本全国・全土の問題へと押し広げていくものです。
「空飛ぶ棺桶」「空飛ぶ恥」と呼ばれるオスプレイの、普天間基地配備の日米合意がおこなわれたのが、2012年4月27日です。人口密集地に囲まれた世界一危険な運用がおこなわれている普天間基地は、1996年に全面返還が合意されていました。にもかかわらずアメリカは、欠陥機オスプレイの配備と、その固定化のための普天間基地の大規模改修を、臆面もなく要求したのです。そして政権交代時には「国外、最低でも県外」と主張していた民主党政府は、「200億円の滑走路補修計画(2018~19年度)を米負担とすること」で合意、普天間基地の長期固定化へと、臆面もなく転換しました。約束を守らない、沖縄の民意を踏みにじった暴挙に、沖縄の人々の怒りが沸騰点に達したのは当然のことです。
このようなアメリカの動きの背景には、2010年に日本を抜き、2025年までにはアメリカを追い抜き、世界一の経済大国になると予想されている中国に対する米戦争戦略があります。
2003年イラク侵略戦争のさ中に提案された米軍再編は、2005年に日米合意(「日米同盟:未来のための変革と再編」)を行い、在日米軍基地強化、日米一体の戦争体制つくりへと踏み出しました。アジア・中東地域を「不安定の弧」とする米軍の再配備は、強大化する中国をも意識したものです。1996年の台湾海峡ミサイル危機では、圧倒的な制海・制空力を見せつけ、中国人民軍の上陸演習を封じ込めた米軍でしたが、2007年、香港への寄港を拒否された米艦隊が台湾海峡を通過した際、中国の駆逐艦、潜水艦とのにらみ合いとなり、台湾海峡危機以降10年の中国軍の近代化を実感したという事件が起こっています。また南シナ海での領有権をめぐる緊張も強まっています。ここからアメリカの中国有事を想定した戦争戦略が練り上げられていきました。
2009年10月15日、キャンベル国務次官補は極秘公電(ウィキリークスが暴露)で鳩山政権に、辺野古新基地建設の必要性を説明しています。「日米特別行動委員会(SACO)の合意が決まった1995年から2009年までの、もっとも重要な変化は、中国の軍事力の強化だ」「中国の軍事力の劇的な増大により、何か事が起きた場合、少なくとも三つの滑走路(注:嘉手納、普天間、+辺野古)が利用できることが必要になってくる」と。
翌2010年には、「統合エアシーバトル構想」(QDR-4年ごとの国防計画見直し。アメリカの国防方針を現すもっとも主要な公文書)が出されています。米国防省のロバート・ゲイツ長官は、アメリカにとって西太平洋海域は、過去60年以上の間、極めて重要な利益を有してきたことを強調し、これを脅かすものとして中国の脅威をあげました。(防衛省のホームページで戦略概念紹介)
しかし、この戦略内容は、沖縄・日本を有事の際の前線基地とし、米軍・米本土防衛の「捨て石」とするものです。中国からの攻撃の兆候があれば、米軍は安全圏(テニアン・パラオ・サイパンなどのミサイル圏外)に退避し、在日米軍基地がある日本(嘉手納・岩国・佐世保は確実に攻撃)が壊滅すれば、“琉球列島ライン”をバリア(タテ)にして、戦局の転換をはかるというものです。
米戦略が守るべきは、アメリカの利益と米軍であり、沖縄や本土で暮らす住民の命と暮らしの影すら見ることはありません。アメリカは権益を確保するために、すなわちアフガンやイラクで行ったような内政干渉や侵略をいつでも行えるように、日本と韓国を含む米軍・同盟軍の兵力と基地、太平洋を航行する海軍艦隊からなる西太平洋海域支配(制海・制空権)を確立するとともに、制圧したい地に、より機動的に直接軍隊を送り込む手段としてオスプレイを活用しようとしているのです。
オスプレイは未だ事故が後を立たない欠陥機です。その莫大な開発費の回収のためにも、また機動的な戦地制圧の実行のためにも、日本全土を低飛行訓練場所にし、日本の施設・住民を仮想敵として運用精度を上げ、「安全性」をアピールしなければならないと、持ち込まれてきたものです。
このような手前勝手なアメリカの軍事戦略を知りながら、日本政府は、唯々諾々とこれらを受け入れ、のみならず積極的に日米一体化の戦争体制を構築し、日本の戦争国家化を進めてきました。朝鮮や中国などを念頭に置いた日米共同軍事訓練も積み重ねられており、このような日米の好戦的な動きは、アジア地域にかつてない政治的・軍事的緊張を引き起こしています。アメリカは、基地撤去を実現したフィリピンにも新軍事協定を要求しています。アジア地域は、いまや極めて危険なバランスの中に、日米軍事同盟によって叩きこまれているのです。巨大化する軍事力は、戦争の危機を拡大し、呼び入れるものにほかならず、戦争は資本家たちの利益を守るものであっても、私たち労働者・民衆の命と暮らしを破壊し、苦しめる以外のものではありません。私たちは、なんとしても、日米の危険な動きをストップさせ、秒読みの戦争とでも言うべき状況を、アジアの民衆とともに変えていかなければならないのです。
○戦争国家化と反戦反基地反安保の闘い
オスプレイの配備のみならずまさに日本全土を前線基地化するための新たな動きが進んでいます。2月の日米首脳会談で合意された京都・Xバンドレーダーの経ヶ岬配備は、前述してきた米戦略を支える軍事網の一環です。米軍人を中心に専門家や整備士など約160名が京丹後市に駐屯し、アメリカ本土へ飛ぼうとする核弾道ミサイルをいち早くキャッチし、グアム基地などに配備された終末高高度迎撃ミサイル(THAAD)で攻撃するためのレーダーです。この動きと連動し、舞鶴軍港や福知山・岐阜・大久保(宇治)・桂(京都)など、近畿圏における軍事基地拠点の再編成が進んでいます。今年10月上旬には、饗庭野(あいばの)自衛隊演習場でオスプレイを使った共同訓練が行われました。八尾空港でのオスプレイ訓練、2015年のオスプレイの自衛隊購入なども計画されています。
東日本でも、米戦略(統合エアシーバトル構想)が想定する有事の際の西日本壊滅以降の足場作りが進んでいます。神奈川では、横須賀港に米原子力空母が強行配備され(2008年)、キャンプ座間に米第一司令部(西太平洋からインド洋、アフリカ東海岸までの広大な地域全域を管轄)の強行移転が進められています。これと合わせ、航空自衛隊総司令部の横田移転により日米一体化が強化され、さらにはオスプレイの横田基地配備が行われようとしています。
西日本、沖縄本島壊滅の後のバリアとする“琉球列島ライン”として、沖縄南西諸島の軍事拠点化、その要として与那国島への自衛隊配備、日米共同体制が進められています。
10月3日に行われた日米安全保障協議委員会(2+2)では、ヘーゲル国務長官は、「リバランス(再均衡)政策の重要な要」として日米安保を強調し、日米政府はガイドラインの見直しを合意しました。「リバランス政策」とは、アメリカ外交・軍事の重点を中東からアジアへと移すオバマ政権の政策です。日米の一体的戦争遂行、日本の戦争国家化がその根幹です。
アジア諸国への侵略軍の派遣、沖縄・本土の前線基地化、これらを戦禍に包むのかどうかの歴史的な攻防が始まりました。進む戦争国家化に対して闘う勢力を総結集させ、この危険な動きをストップさせることが切迫した課題となっています。
反戦・反基地・反安保を掲げて闘いつづけてきた部分が、この闘いの中軸となるのは明らかです。沖縄―神奈川―岩国の反基地住民、これに連帯して反戦反安保闘争を担ってきた労働運動、戦争国家化に抗して立ち上がってきた全ての人々の闘いをつなぎ、全国的な反撃体制を構築していくために、私たちの岩国連帯闘争を前進させていくことが要請されているのです。
○戦争は誰のため
しかし今、他国への排外主義や軍備増強を煽り立てる声が大きくなっています。石原元都知事による、尖閣列島問題での挑発を発端に、日中間の緊張が高まり、それを理由に軍備増強や戦争挑発が進んでいるのは記憶に新しいところです。日本では、右翼排外主義が、オスプレイは尖閣防衛のため、日米同盟は日本を守る等のデマを振りまいています。アメリカの軍事戦略が、沖縄・本土を捨て石にして米軍・米本土を守るものであるのは、前述のとおりです。米軍が守っているのは、まさにアメリカの経済権益です。
世界のGDPの3割を占めるアメリカ経済は、経常収支黒字をもつ国々から輸出された資本の3分の2をアメリカ市場に集め、グローバル経済にますます依存する構造を深めています。アフガンやイラク戦争に見られるように、軍需産業や石油産業は侵略戦争と一体化して利益を上げています。IT分野などの多国籍企業は、アジア地域に製造工場と販売網を持ち、安い人件費で莫大な利益をあげています。今年の年頭、ヒラリークリントン元国務長官は、「アジアの成長と活力を利用することが、アメリカの経済的、戦略的権益にとって極めて重要だ」と強く主張しました。米軍が守るべき権益は、アメリカの多国籍資本や富裕層のためのものなのです。
このアメリカの権益を守るための戦争・軍事行動に、なぜ日本が同調し、日米一体の戦争の道に進もうとしているのでしょうか。それはアジア諸国への侵出によって、やはり日本の多国籍企業や投資家のための経済権益ができているからです。
安い労働力と成長市場を求め、1980年代以降、日本企業は凄まじい勢いでアジアへの侵出を遂げてきました。製造業の海外現地生産比率は、2011年には、過去最高の18.4%に上昇し、これに倍する形で非製造業も侵出増大の一途をたどっています。この年の対外直接投資は10兆円を超え、M&Aも、総合商社による医療関連やエネルギー関連の企業買収、金融機関による銀行や投資会社の買収、情報通信会社によるシステム関連会社の買収、など多様な分野で活発化しています。
日本国内でのリストラ、賃下げ、非正規雇用化などによって蓄えた内部留保が、対外投資・買収の資金となり、海外権益を拡大し産業空洞化を進めているのです。このような資本侵出は、個別企業の枠をこえて、いまや海外インフラ・ビジネスとして、官民あげた新幹線、原発、水道、ロケットなどの国家的プロジェクトの出資・操業にまで及んでいます。
日本経団連は、これら海外企業権益の拡大につれ、改憲や海上保安策を声高に要求するようになりました。日本政府が、沖縄・本土を捨て石にした軍事戦略を描くアメリカのような国との、一体的な戦争体制作りにひた走るのは、日本の巨大独占資本家たちの要望に突き動かされているのです。
いまグローバル化した経済の基盤の上に、各国資本のしのぎを削る資本間抗争がくり広げられています。それは資源、市場、海洋をめぐる国家間抗争と連動し、きわめて危険な緊張関係を生み出しているのです。
さらに、この緊張関係に拍車をかけているのが、軍需産業の肥大化です。これらは常に戦争を必要としており、オスプレイも有力兵器商品として売り込むための実験場として、日本での低空飛行訓練となりました。日本でも、兵器ビジネスで稼ぎたいと三菱重工などが、武器輸出3原則を改め、武器・兵器の共同開発に参加できるようにと提言してきました(2010年「新たな防衛計画の大綱に向けた提言」)。今年3月、安倍政権は、米国が進める次世代戦闘機F-35(岩国に2017年配備、イスラエルも導入予定)開発・生産への日本企業の参加を「武器輸出三原則の例外とする」という決定をおこないました。中国でも、軍産複合体が肥大化しており、政府予算獲得や開発・製造のために戦争熱を煽っていると言われています。
私たち労働者は、これら海外権益や軍需産業から何も利益を得ることはなく、ひとたび戦争が起こったら、動員され犠牲となる以外にはありません。その労働者こそが、今こそ大きな声で、反戦平和を訴えて行かなければならないのです。
Ⅱ.資本の攻撃と労働者民衆の困窮、労働組合・労働運動の役割の重要性
○強まる資本の攻撃
新自由主義グローバリゼーションと市場原理主義の下では、資本は目先の利益確保に奔走し、溢れる資本は金融資本の下に集中し、実体経済を伴わない投機と金融に支配された資本主義の時代です。
そこでは資本の野放図な展開に対する社会的規制は破壊され、人間である労働者はコストの一つに過ぎません。国境を越えて「1%の富者と99%の貧者」の世界が作り出され、世界的な規模での「貧困と格差社会」が出現しました。
グローバリズムの拡大と集中は、産業構造の転換をもたらしました。大企業は多国籍化し、低賃金を求めて後進国の資源や労働力を奪い尽くし、国境を越えて活動します。
国内では産業の空洞化が進み、労働者は失業の高まりの中、競争を余儀なくされます(低賃金、過密労働、イジメ)。農業・漁業は、TPPや自由貿易によって国際競争にさらされ、破壊されます。大都市への一極集中が進み、地方は過疎化が進んでコミュニティーと自然が破壊されていきます。
日本の産業構造はこの四半世紀の間に大きく転換しました。
・製造業は、海外移転を繰り返し、国内主要産業は、流通・サービス業へと大きく転換しました。
・政府の責務であった、公共サービス、社会保障、福祉事業は民営化されました。
・交通・通信・水光熱・医療・介護というライフラインは民営化されました。
・貧富の格差は、そのまま利潤の対象としてのサービスの格差となりました。
・公務員バッシングを扇動して、公共サービスは解体され、公務員労働者の容赦ない切り捨て、官製ワーキングプアと呼ばれる公務非正規労働者が増大しました。
・地方分権とは、政府権限の強化であり、地方自治体の解体でした。
○労働者民衆を抑圧し、戦争国家化へと暴走する安倍政権
安倍政権は、発足以来、日米同盟を基軸にして日本列島の戦争国家化を進めながら、改憲に向けた法的整備を急いできました。
今年2月におこなわれた日米首脳会談では、安倍首相は、防衛費の増額、防衛大綱の見直し、集団自衛権の踏み込みなどをオバマ大統領に提案し、日本の戦争国家化をアピールしました。これを受け、10月の日米安保保障協議会(2+2)では、ヘーゲル国務長官は、アメリカの世界戦略の遂行にとって日米安保同盟はきわめて重要と強調し、日米政府は、アメリカのリバランス政策に伴う日米ガイドラインの見直しを合意しました。
アメリカとともに一体的な戦争行動を行なう、という方針のもとに、国内における危険な動きが進んでいます。
秋の臨時国会では、安倍政権は、特定秘密保護法を衆議院通過させました。国家機密・軍事機密の漏洩に厳罰を課すという、この法案は、憲法21条から派生する知る権利や取材の自由を侵害するだけでなく、国政調査権などをも侵害するものです。あわせて盗聴法の改定なども進められており、戦争国家化を支える監視・弾圧体制が整えられようとしています。
また年内には集団的自衛権行使を提言すると、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が積み重ねられ、国家安保戦略と防衛大綱を決定する「安全保障と防衛力に関する懇談会」が立ちあがりました。安倍政権は、これらの作業の上に「国家安全保障基本法」を来年の通常国会に提出しようとしています。国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案も通り、集団的自衛権行使、海外での武力行使、自衛隊制服組への指揮権統合、秘密保護法の制定、武器輸出三原則の解禁など、解釈改憲への道をまっしぐらにひた走っています。
安倍政権は、これらの法律によって現憲法をくつがえし、その後に自民党憲法草案を現日本国憲法に置きかえていくという「法の下剋上」ともいうべき事態を推し進めようとしているのです。そこには労働者民衆にとって大切な基本的人権などありません。
このような戦争政策と並んで、安倍政権は、グローバル資本や日本経団連の意を汲んで1995年の「新時代における日本的経営」に匹敵する労働政策を打ち出そうとしています。労働法制を資本の利益のために規制緩和し、「日本が世界で一番企業が活躍できる国」へと作り変えようとしているのです。狙いは労働者保護ではなく、真反対の労働者を「流動化」させる労働法制です。
「限定正社員」、「解雇の金銭解決」、「残業代ゼロのホワイトカラーイグゼンプション」、「労働者派遣法の全面自由化」「有期雇用の上限5年の10年以内への延長」など、まさに労働者にとっては地獄の労働法制です。
そればかりか、東京電力福島第一原発では放射能汚染水がダダ漏れであるにもかかわらず、震災被災者や原発事故被災者を置き去りにして、原発で働く労働者や除染労働者への安全無視、ピンハネが横行する中で安倍政権は原発の「再稼働」や「原発輸出」を行おうとしており、大企業の利益のための市場開放であるTPPへの参加、規制緩和を行おうとしています。
安倍政権は、まさに、労働者民衆が困窮しようがお構いなく、資本の利益を擁護し、その権益を守るための戦争できる国家を作り上げることで、戦後日本を塗り替え時代を画そうとしているのです。
このような安倍政権と対決することなくして、労働者民衆の生活も平和的生存権もありえません。
○労働者・民衆の困窮
日本における労働の現状は、一方では、正社員の働きすぎによる心身の疲弊があり、もう一方では、非正規労働者を中心にしてワーキングプアの累積があります。正社員も非正社員も労働者の状況はすさまじいものです。
何重もの下請け構造の下で、最賃に近い低賃金で長時間労働を強いられるトラック労働者は、一週間に一度ぐらいしか家に帰ってこられません。
ネットカフェに泊まる金もなく、歩き疲れて深夜営業のマクドの店にたむろする、そこも閉店になれば次はブックオフへ、夜明けとともにまた街頭へという生活をおくる「マクドナルド難民」。
単に低賃金や長時間労働ばかりでなく、大企業のリストラのための「追い出し部屋」や、悪徳企業の人権抑圧など、労働者の権利や人格・心身をも破壊する行為が労働現場でまかり通っています。現に、厚生労働省に寄せられた2012年度個別労働紛争件数では、「イジメ・嫌がらせ」が「解雇」を上回っています。
非正規雇用が急増し、低い賃金水準と相まって、貧困は拡大し、労働者は過酷な生活状況を余儀なくされています。とりわけ、若者は、非正規、低賃金、就職難、貧困の連鎖から抜け出せないでいます。細切れ雇用で、ダブルワークでも生活できない労働者も増えています。
国家公務員労働者には既に7.8%の賃下げが進み、地方公務員に対しては、地方交付税の予算配分をあらかじめ7.8%賃下げ額に相当する分を減額配分して、賃下げを先取りしているのです。
政府の切り捨て政策にもかかわらず、生活保護受給者数も215万人と毎月最高を更新し続けています。にもかかわらず、生活保護基準の引き下げに続き、困窮者を生活保護から締め出す法改悪をしようとしています。
このような貧困の要因は、規制緩和による雇用環境の破壊にあります。コスト削減のため、必要な技能を、必要な人数だけ低賃金で動員する非正規雇用体制です。
今でも厳しい労働者民衆の生活に追い打ちをかけようとしているのが消費税増税とTPPです。2014年4月から消費税は8%に上げられようとしており、しかも、今年1月から始まった復興税と合わせて、逆進性の強い消費税は、物価上昇を招き、賃上げが不十分な労働者の購買力も奪い、生活を窮地に追いつめます。恩恵を受けるのは、消費税還付を受ける輸出大企業のみです。しかも早くも、法人税減税が声高に叫ばれているのです。
TPPは、グローバル企業の利益を拡大するもので、農業、漁業、国民皆保険制度をはじめ、国民の命や「食」とくらしの安全、雇用、地域を破壊するものである。TPPに、労働者、農民、すべての民衆の未来はありません。
○労働組合・労働運動の重要性
残念ながら、日本では労働組合の存在感が希薄になっています。労働組合の組織率は17.8%、ストライキは631件、団体交渉を行っている組合は6割しかなく、賃金は13年連続で下がり続けています。
労働者は労働組合に期待を寄せることができなくなっていると言われています。その要因は様々ですが、根本的には資本との対決を避け、労働者の「痛み・苦しみ」に寄り添うことなく資本に迎合して分け前を得ようとするからです。また、労働組合の中には電気・電力産別など会社と協調して原発推進を是とする労組もあります。また、アベノミクスに賃上げを期待するかの声すらあり、労働組合の基本的立場が問われています。
世界では、数万人から数百万人の反政権デモが民主化を求めて巻き起こっています。
クウェート、ヨルダン、エジプトで。アジアでは、インドネシア、マレーシア、中南米ではブラジルで。ヨーロッパでは、増税や賃下げなどの緊縮政策に反対し、スペイン、ポルトガル、フランス、ギリシャなどで、危機を引き起こした政治家や金融機関が責任をとらず、「労働者だけが危機の報いを受けるのは不公平」としてヨーロッパ規模の一斉行動に立ちあがりました。ゼネストは既に2回行われており、22カ国900万人が参加しています。
日本でも祝島の人々や福島の人々を初めとして多くの人々が反原発の闘いや、反戦・反基地の闘い、反TPPの闘いに立ちあがっています。そのなかには多くの労働者も参加しています。これらの闘いに、労働組合・労働運動としての社会的登場の必要性が問われているなかで奮闘している労働組合が全国に多数あります。
イジメや解雇が蔓延するなかで、全国のユニオン運動では労働相談活動から着実に組織化が進められています。
基地のある沖縄・岩国・神奈川でも住民や県民の闘いを、地元の労働者・労働組合が下支えしています。
震災・津波・原発事故のあった東北・福島では、被災しただけでなく、従来の人間関係、社会関係が破壊され、孤立させられ、この難局に個人がばらばらに直面させられています。放射能汚染のなかでどこに住むのか、何を食べるのか、子どもをどうするのか、医療をどうするのか、地域社会ばかりでなく家族の中にも軋轢や対立・分断状況があります。「日常生活のすべての課題が政治に直結する被災地では、労働組合の取り組み、スローガンが家族の中で語られることが必要だ」と、被災地の労働組合活動家は訴えています。
失われた自分たちの生活を元に戻したいというあたりまえの思いは、社会の仕組み、世の中を変えることを通してしか実現できない現実が突きつけられているのです。
私たちは今、否応なく時代の転換点に立たされています。今こそ、労働者が社会の主人公になることが求められています。職場や地域にいきいきとした労働組合・労働運動を創り出そう。労働運動が世の中を変える運動の中心に座れるよう絶えざる自己変革の努力を続けよう。
核や原発、戦争のない人らしく生きられる社会を作り出すために、隣にいる労働者と繋がろう、団結しよう。沖縄や福島の闘いに連帯しよう。アジア・世界の労働者と連帯し戦争への道を止めよう。
Ⅲ.労働者反戦闘争の強化、国際連帯・国際共同闘争の強化で、戦争の危機と闘おう!
○沖縄、岩国、神奈川の反基地住民と連帯し、全国の闘いを結びつけていこう。
昨年のオスプレイ上陸阻止闘争の時に、政府・防衛省の不誠実さに辛酸の苦汁を舐めさせられてきた愛宕山を守る会の岡村代表は、「岩国には、これから日米安保のクズが吹き寄せられてくるだろう」と発言していました。オスプレイを上陸させ、愛宕山開発跡地を米軍住宅用地として確保した日米政府は、岩国住民の予測通り、岩国基地大強化の道を突っ走ろうとしています。
10月3日に開催された日米安全保障委員会(2+2)で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の空中給油機KC130部隊を、2014年夏に米軍岩国基地(山口県岩国市)へ移駐させることが決まりました。また2017年にはステルス戦闘機F-35配備も画策されています。すでに決まっている艦載機59機の移駐、実質化されてきたオスプレイ搬入・訓練運用拠点としての役割も加え、岩国基地は極東最大の米軍基地拠点となろうとしています。
政府―防衛省は、沖縄の民意をタテにして、「沖縄の負担軽減」を振りまいていますが、饗庭野でのオスプレイ訓練反対闘争に参加した沖縄平和センターの山城代表が怒りをもって弾劾したように、「負担軽減」など厚かましい嘘八百にほかなりません。第一章で明らかにしたように、それらは日本全土を戦争の前線基地とするための再編成であって、沖縄には「負担軽減」どころか、辺野古新基地や高江ヘリパッド、南西諸島への軍事網の整備などによって、軍事拠点化する日本全土の最先端に立たせられることを意味するのです。
真に沖縄に連帯する道は、米軍再編・戦争国家化に反対する全国的な反撃の闘いをつくりあげることなのです。差別的な日米地位協定を破棄し、侵略的な日米安保同盟をやめさせることです。そして「本土」においては、岩国や横田や京都・八尾などのさらなる軍事網の強化ではなく、憲法9条改憲を許さず、米軍基地を撤去し、平和的生存権を守り抜く闘いを前進させていくことなのです。
今まで日本の戦争国家化との攻防の先端を、沖縄―岩国―神奈川の住民たちは闘い抜き、2014年を目標とした米軍再編のロードマップを破たんさせてきました。さらには、オスプレイの全国低空飛行訓練の常態化や、京都・経ヶ岬へのXバンドレーダー基地建設などに対し、多くの住民が不安を感じ訴え、日米安保の下で際限なく拡大する軍事的強化への嫌悪感が広がっています。
安倍政権は、日米軍事同盟強化と戦争国家化に立ちはだかるこれら反基地勢力を根絶やしにしようとしています。沖縄には、日本全土の軍事的強化を「負担軽減」と言いくるめ、地元名護での賛成勢力育成を行い、中国脅威の脅しや基地撤去への絶望を呼び水に反基地運動を抑え込もうと必死となっています。
岩国でも、徹底したアメとムチを使い、岩国住民のあきらめを誘い、反基地勢力の孤立化を狙っています。
私たちは、各地で進む戦争体制との闘いを強化しながら、政府―防衛省による全体重をかけた沖縄―岩国―神奈川の闘う住民つぶしとの攻防にできる限りの力と創意工夫で闘い・連帯し、泥沼の戦争遂行の道を阻止する全国的な反戦・反基地・反安保の全国体制を作っていくことが必要です。
○国際連帯・国際共同行動を前進させていこう。
資本間競争が激化し、資源・市場・領土(領海)などの国家間対立が深まっている世界情勢の中で、日米軍事同盟はこの危ういバランスの中に緊張を持ち込み、戦争への危機を誘い出すものです。
憲法9条は、「…国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と述べており、外交的手段による解決が求められています。
その外交とは、誰の利益の為に誰が行うのかが肝心です。日本の大独占資本・多国籍企業の利益に立つ安倍政権などが、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する」(憲法9条)などあり得ないのです。前章でも述べてきましたが、日米軍事同盟が守ろうとしている国益とは、日米の大独占資本家たちの権益以外にはなく、労働者・民衆にとっては無縁のものでしかありません。
世界は今、大きく流動しています。シリアの化学兵器使用問題などでは、イラクの時のようにアメリカは軍事行動を発動できませんでした。もはやG7では世界を支配できなくなり、G20という多極化の時代が訪れています。このような中で、日米政府は、突出した軍事力でもって対応するという危険な道を突き進んでいるのです。
戦争によっては災禍以外に何も得ることのない労働者・民衆の国境を越えた反戦反基地、国際連帯の闘いだけが、たとえ今は小さな力であっても、資本間競争や権益争いの泥沼から、世界を脱させることができる唯一の希望の道なのです。
2006年に始まった岩国行動以来、国際共同闘争は8年目を迎えようとしています。2007年に誕生した岩国・労働者反戦交流集会実行委は、一日現地共闘ではありますが、この国際共同行動の一翼を担ってきました。米軍のアジアからの総撤収や、基地なき社会の希望は、国境を越えた国際共同闘争の前進の中にこそ存在します。日本の反戦反基地勢力の国際的発信力を強め、排外主義の台頭をうちやぶっていくために奮闘していきましょう。
○2013年の闘いを翌年へと連続させていこう。
2007年以来、全国で労働運動の再生のために闘う労働者・労働組合が集まり、日本社会を戦争国家へと大きく作り変えようとする米軍再編・基地強化に対する共同の闘いをつくりあげてきました。
それはまた、沖縄の安保・基地撤去の闘いを本土でも再生すべく、とりわけ保守県であり反基地住民が孤立しがちな岩国現地において、沖縄で毎年5・15に行われる沖縄平和行進(2013年で36回目)のような場を作り出していこうとする努力でもありました。
安倍政権の動きなどを見る時、この継続は決して安泰な道ではありません。労働運動や、反原発運動でもおこなわれてきましたが、不当弾圧も強まっています。高江住民に対して座り込みに対する嫌がらせ弾圧のための訴訟(スラップ訴訟)を政府が起こし、さらには、秘密保護法の制定や、盗聴法の改定が行なわれ、戦前のような暗黒社会への道が進んでいます。日米安保と基地強化に真っ向から反対する闘う労働運動勢力に、弾圧の刃(ヤイバ)が向かうのはそう遠くはありません。
だからこそ私たちは、時代の今後を決するこの攻防を全力で担い、広げていくことを改めて確認することが必要です。
日本全土で戦争国家化が進む現在、岩国連帯を軸に闘う労働運動が毎年ごとに、反戦交流集会を開催してきた重要性は失われるどころか、ますます高まっています。
闘う以外に明日はありません。今年は会場の問題もあって実現しませんでしたが、年一回の反戦交流集会が、岩国住民の闘いへの励ましにもなり、また青年たちの希望の場ともなるように、来年には、様々な文化的要素も入れた試みに挑戦し、新たな波を起こしていく努力に入りたいと思います。
各地で奮闘する皆さん。全国各地の反戦反基地反安保闘争を、沖縄―岩国―神奈川の闘いと結びつけ、大きな流れにしていくことが私たちには要請されています。
2013年度も、そして来年も、たゆむことなく岩国住民に連帯し、岩国大強化反対の闘いを広めるとともに、戦争国家化に抗する各地での闘争態勢を強め、その力を集結させていきましょう。
ANSWERが岩国基地拡張反対の行動に参加
米軍基地は日本から出て行け!
ANSWER participates in actions against expansion of Iwakuni base
U.S. bases out of Japan!
http://www.answercoalition.org/national/news/answer-participates-Iwakuni-anti-base-protests.html
2013年12月5日
AWCの招請を受け、ANSWER連合を代表してウォルター・スモラレクが日本を訪問し、一連の反戦行動に参加した。メインの取り組みは11月30日から12月1日にかけて行われた岩国市にある米軍基地の拡張に反対する会議、集会、デモ行進などである。スモラレクはまた、岩国の闘いへの日本各地からの支援をつくりだすために行われた会議やフォーラムにも参加した。
AWCは日本に拠点を置く傑出した反戦団体で、アジア太平洋各地の団体が参加している。AWCは、アジアを支配するための米日の侵略を終わらせるために立ち上がっており、米日政府に自己決定権を尊重するように要求している。ANSWERはAWCのキャンペーン調整委員会(CCB)に参加している。
岩国基地の拡張は、米国の戦争マシーンの新しい焦点である「アジア基軸化」戦略の重要な一部だ。このドクトリンのもとで、中国を脅すことを主な目的として、主要な軍事資産や部隊が世界の他の地域から太平洋地域へと移動されようとしている。中国との関係での位置に加えて、岩国基地はまた、北朝鮮との戦争の際に主要な役割を果たす位置にある。
基地周辺での騒音の拡大、墜落事故を起こしてばかりいるオスプレイの配備、電力料金の補助など日本の人民への財政的負担、基地周辺のコミュニティーに対して米兵が犯すレイプその他の暴力行為など様々な悪弊が、日本における米軍基地反対の声を強めている。ANSWERは日本における米軍駐留および米日軍事同盟の終結というAWCの要求を全面的に支持する。日本における反米軍基地の闘いには他にも、沖縄での基地の存在・移設に反対する運動やXバンドレーダーの前進基地の建設に反対する運動などがある。
日本の安倍政権はアジア基軸化におけるその戦略的役割を日本の再軍事化を究極の目的にした右翼的な政策課題を推進するために利用している。日本では、中道左派の民主党による数年間の政権運営の後、安倍・自民党の政権への回帰とともに、このかん右翼が息を吹き返している。先の選挙では極右政党である日本維新の会が広範な得票を得、また、公然たるファシスト運動が成長し、在日朝鮮人コミュニティーへの襲撃がより大胆なものになっている。教科書は帝国主義的・ファシスト的な過去を賛美するように修正されつつあり、さらに日本政府は釣魚諸島を国有化した。この島々は1945年以前の日本の植民地拡張の過程で占有されたものであり、中国はそれを非難している。その究極の目的は、戦争放棄をうたっている日本国憲法第9条を改悪することだ。
岩国に行く以前に、スモラレクは2年以上にわたって設置され続けている経済産業省前の反原発テントを訪問した。2011年の津波による福島での災禍を受けて、原子力発電所に対する大規模な闘いが炸裂した。彼はその後、秘密保護法案に反対する国会前での抗議行動に参加し、連帯発言を行った。この法律は昨日(米国時間)参議院特別委員会を通過したが、これは刑事告訴などの手段によって、公衆から情報を秘匿できるように政府の能力を強めるものであり、安倍政権の全面的な右翼的攻勢の一部である。その他にも京都、神戸、大阪などで岩国での行動に向けた取り組みが行われた。
岩国での反戦行動
11月30日、この週末の取り組みはある会議から始まった。その最初は国際集会であった。岩国行動にはANSWERの他にも外国からのゲストとして、同じく反米軍基地闘争に取り組む韓国の活動家や日本に暮らす進歩的なフィリピン人移住者の団体であるミグランテ・ジャパンの代表が参加した。スモラレクは次のように発言した。
「ANSWER連合は米軍の日本駐留を終わらせることを要求します。私たちはこの闘争に参加するよう招待されたことを光栄に思っており、また、それは帝国主義という怪物の心臓部に住んでいる進歩的な人民としての私たちが果たすべき最高の義務だと思っています。私たちは米軍国主義を完全に追放するための第一段階として、米軍基地の強化の中止を要求します。私たちは、米軍の犠牲者のための賠償を要求します」。
この日はその後、反基地・反戦闘争における労働運動の役割に焦点をあてた集会が行われた。スモラレクはそこで、青年層を焦点にして、米国における社会状況を伝え、それがどのように米国の軍事化と関係しているのかを発表した。まさに米国と同様に、日本の貧しい働く人々は、社会福祉予算の削減によって圧迫され、進行中の経済危機のために拡大する貧困や失業に苦しめられている。
翌日の岩国での取り組みは屋外での取り組みで構成されていた。ます最初に、新たな米軍住宅建設に反対する愛宕山住民が開催した定期的な抗議の集いである。愛宕山での抗議の取り組みは毎月10日毎に行われている。愛宕山の住民は民間住宅施設の建設のためならばと納得して自分たちの土地を売った。しかし、日本政府はその後、愛宕山の土地を拡張された岩国基地に追加配備される米軍部隊のための住宅に使うと発表した。外国からの代表は皆、愛宕山での闘いへの連帯発言を行った。
参加者はその後、米軍基地へのデモに向けて岩国市役所前に集まった。ANSWERは「米軍基地反対・米日帝国主義打倒」と書かれた横断幕を携えた。デモ行進が基地の正門に近づくと、スモラレクは兵士たちに向けて、このデモを説明し、なぜ彼らが団結して闘っているのかについて訴えた。岩国の住民は、日本および世界各地の進歩的な人民とともに、米軍基地に対する闘いを続け、「アジア基軸化」を阻止することを決意している。
関係各位の皆様、日本維新の会、大阪府知事松井が、またしても許しがたい政治的パフォーマンスに打って出てきました。岩国労働者反戦集会実行委員会としては、緊急に抗議文をまとめ、大阪府にFAXします。皆様におかれましても、それぞれの団体で、抗議文を作成したり、あるいは当団体の抗議文をアレンジするなどして、大阪府知事への抗議を集中してください。よろしくお願いします。
以下抗議文
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緊急抗議文
大阪府知事 松井 一郎 殿
2013年6月6日
2013年岩国労働者反戦集会実行委員会
iwakunihansen@yahoo.co.jp
6月3日付の毎日新聞によれば、沖縄をはじめ全国各地で低空飛行訓練が問題となっているMV22オスプレイの訓練を八尾空港をはじめとする大阪府下で受け入れる意向を固めたと報じられています。私たちは今回の方針に抗議し、6日の菅官房長官との会談自体を中止することを求めます。
報道によれば、オスプレイの給油拠点として八尾空港を活用するといわれています。しかし、八尾空港には大きな問題があります。空港の周囲は問題になっている沖縄の普天間基地以上の人口密集地域であり、普天間が抱える以上の問題が発生します。そのうえ、上空は伊丹空港のアプローチであり、日本でも有数の民間機の過密地帯です。また、地元自治体や大阪府民の意向も聞かず、知事の単独判断で簡単に決めることができない問題を意向表明したこと自体にも問題があります。
知事はそれでも沖縄の負担軽減のためだとおっしゃるのかもしれませんが、こんな素人目にも無理のある場所を、そもそも米軍が受け入れるでしょうか。私たちは今回の知事の意見表明は、日本維新の会代表橋下徹氏の「従軍慰安婦」肯定発言、米軍司令官に対する沖縄風俗業活用発言および、その後の批判をごまかすための政治パフォーマンスに過ぎないと認識しております。関西の私たちですらそのように見える今回の意見表明は、これ以上の基地負担に耐えられないと島ぐるみの闘いに立ち上がっている沖縄の民衆を愚弄するものでしかありません。
私たちは沖縄はもちろん、あらゆる場所でのオスプレイ訓練に反対です。これ以上私たち大阪府民の恥を全世界にさらさないでください。